【西遊記】孫悟空ってどんなキャラクター?サイヤ人じゃない猿の悟空を10分で説明

2021年10月8日

西遊記の孫悟空を知らない人は、おそらく日本にいないでしょう!それくらい悟空は有名人(有名猿?)。中華屋の名前になるし、サイヤ人にはなるし……。

それもそのはず、日本では徳川時代から愛読され、日本では「西遊記」とは別に「孫悟空」という絵本まで出るくらい、悟空は大人気キャラクター。

でも案外、悟空の金の輪の名前だとか、どんな術が使えるのかなどは知られてないのでは?ここでは、悟空のキャラクターを詳しく説明します!

ざっくりと!悟空の人生(?)

孫悟空は長生きです!多分千年以上生きてます。

昔々その昔、あるところに大きなつるつるの卵みたいな岩がありました。ある日、その岩がパカッと割れて、出てきたのが一匹の猿。これがのちの孫悟空です。

石猿はまたたく間に、そこら辺の猿どもを家来にしてのしあがり、花果山(かかざん)という山に居すわって、ここの猿のリーダーに。しかも、言うことがいいじゃありませんか。

「このままダラダラ遊んで暮らしてたら、そのうち閻魔大王に連れてかれて死んじまう。俺は仙人に不老不死の術を習ってくるぞ!」

こうして仙人の弟子入りして、不老長生の秘伝を受け、さらに姿替えの術など七十二の術を覚え、ついには觔斗雲(きんとうん)に乗って空を飛べるようになりました。ちなみに、「孫悟空」という名になったのもこの時のこと。仙人が「サルという意味の孫という字をつけて、お前は孫悟空だ!」と決めてくれたのです。

さて、こうして怖いものなしになった孫悟空。故郷に帰るなり、いい気になって暴れたい放題。竜王のところに行って如意棒(にょいぼう)をぶんどり、それを持って天上界へ行って散々やらかしたのでした。

ついにキレたのはお釈迦様。

「ええい、もう許しておけぬわ!このサルめ、思い知れ!」

と、悟空をベチャッと地面にたたきつけ、その上に五行山というバカでっかい山をズシーンと置き、絶対に出られないようにお札を貼って、

「五百年はそうして潰れてろ。そのうち、お札を剥がしてくれる偉いボーズが来るから、そうしたらそのボーズの弟子になって修行するのだ」

と言い捨てました。この時、お釈迦様は

「腹が減ったら鉄の塊を食わせ、のどが乾いたら溶けた銅を飲ませてやる」

と、「お慈悲を下された」と言うんですが……これって拷問なのでは……。

こうして、五百年潰れてた悟空。ある日、予言通り三蔵法師がやって来て、「弟子になるならお札を剥がしてやる」と言いました。

「なります、なります~。何でもするから助けて~」

五百年もたって、頭には苔が生えてる有様だった悟空。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになって嘆願。それから三蔵法師のパシリになって、妖怪退治から雑用まで何でもこなし、一緒に天竺まで行ったのでした。

孫悟空の性格は?

悟空は最重要キャラクター。いくつか特徴的な性格がありますね。

超短気!とにかく暴れ者

悟空はとにかく短気です。妖怪たちに「孫悟空が何だ。そんな奴は筋を抜き、骨までしゃぶってやらあ」などとバカにされると、一瞬でキレます。キレたらもう手に負えません!

「ふざけるな、無礼者め!ひっ捕らえて切り刻んでやらあ!」

と怒髪天を突き、相手を瞬殺。如意棒で倒せない奴はいないのです。

実は頭いい

悟空って「如意棒振り回すだけの奴」みたいなイメージありますけど、実は策略家です。妖怪を倒すためにいろいろと頭脳戦をします。例えば、姿かえの術を使って、その妖怪が可愛がってる美女に化けるとか、妖怪の必殺のアイテムの偽物を作って騙すとか。

それってどうなの?という気になるセコイ手もけっこう使うんですが……とにかく力技だけの奴じゃないんです!

超絶自信家

不老長生で、七十二の術を使いこなす悟空!スーパーサルで、できないことがほとんどないため、「オレって最高!」って、かなり思ってます。

天上界に押し入りしたのも実はそのため。

「この世は弱肉強食だぜ!最高に強い俺様が天上界を手に入れる!さあ、明け渡せ!」

と喧嘩売ったのです。……それでお釈迦様に叱られて、五百年も山の下で反省……。この時ばかりは悟空も反省し、すこ~しは慎むようになったのでした。

とにかく三蔵には弱い

五行山から出してもらった恩義からか、悟空はとにかく三蔵法師にだけは弱いです。三蔵の言うことならなんでも「ハイ、ハイ」。妖怪退治をするのはもちろん、三蔵が「お腹が空いた」と言えば食べ物を探しに行き、「のどが渇いた」と言えば水を汲みに行きます。近くになかったら觔斗雲(きんとうん)に乗ってどこまでも探しに行く悟空……。

もっとも悟空はキレやすいキャラですから、たまにはヘソを曲げて家出するのですが、必ず後悔して「お師匠様~」と帰ってくるのです。

これは悟空が純粋に三蔵をお師匠様だと思って従ってる、というのが一般的な意見なのですが、中島敦の西遊記では「悟空は男色のけがあるのだ」と八戒が言っている衝撃の場面が……。男同士の上に人間とサルの関係。もの凄い設定ですね。

悟空のアイテム

悟空には「これが悟空だ!」と一目でわかるアイテムがいくつか。これを揃えれば、あなたも孫悟空になれる?

頭の金の輪

正式名称は緊箍児(きんこじ)と言います。(覚えなくていいよ)

これはビジュアル的につけてるんじゃなくて、ハッキリ言って三蔵法師が使ってる「悟空拷問アイテム」です。悟空は暴れもんなので、手が付けられない時とか、言うこと聞かない時などに「緊箍児呪(きんこじじゅ)」という呪文を唱えると、この輪がギリギリギリッと悟空の頭を締め上げるのです。

その度に悟空は「痛いよ痛いよ~!」と七転八倒。何と哀れな……。

でも、この緊箍児は西遊記ラストで外れます。悟空がちゃんと三蔵法師を天竺まで守ったご褒美に、自動的になくなったのでした。

如意棒

これは悟空の必殺武器ですが、元々は武器として作られたんじゃありません。竜王が海の深さを測るための「ものさし」だったのです。

これを悟空が手に入れたのには、ちょっとしたいきさつが……。

仙人のもとで、いろいろ術を覚えた悟空。でも、武器を一つも持ってません。そこで悟空は考えました。

「よし!竜王のところからバクってこよう!」

……ハッキリ言ってドロボーです。悟空は堂々と竜王のところへ殴り込み。いろいろ剣とか槍とかありましたが、どれも気に入りません。最後に如意棒を見て、

「これがいいや。もらったぜ~」

と勝手におさらば。この如意棒というのは「自分の意思のままに伸び縮みする棒」という意味で、どんな長さにもなるという重宝な棒です(だから海の深さを測れるんです)。悟空はこれを使っていない時は、短くして耳の穴にしまっています。

腰に巻いている虎の皮

これは悟空の着ている服の中で一番有名なものですね。これを手に入れたのは、悟空が三蔵法師の弟子になったすぐ後のことです。

いきなり虎に襲われた三蔵法師。悟空はすぐに虎を退治して、

「ちょうどいいや。オレは五百年も山の下敷きになっているうちに、服が全部腐ってなくなっちゃった。これで服を作ろう」

と言って、虎の皮をはぎはぎ……。針と糸を借りてその皮をチクチク裁縫(意外とマメですね)。腰巻を作ってこれを履き、

「どうです?お師匠様。なかなかいかすでしょ?」

と三蔵法師の前でポーズ。実は悟空、けっこうおしゃれ好きです。この後も良さげな服を見たりすると「これ欲しい~」と三蔵にねだったりしてます。

三蔵法師はニコニコ笑って「では上にはこれを着るがよい」と、自分のお古の着物をくれたのでした。

この後、悟空は何度も服がだめになっちゃうんですが、この虎の皮だけは相当丈夫だったとみえて長持ちしてます。

悟空の使う術

悟空はいろいろな術を使います。何とその数、72も!ここでは、その中でも使用頻度の高いものを紹介します。

觔斗雲(きんとうん)の術

觔斗雲(きんとうん)に乗って、どこまでも飛んでいけます!ひとっとびに10万8千里(この頃の1里は576メートル。頑張って計算してね)も!

中国の他の仙人たちも雲に乗りますが、何でも悟空の觔斗雲(きんとうん)の術は、仙人たちの雲とは種類が違うんだとか。

他の仙人たち⇒ケリ足で飛び上がって雲に乗る

悟空⇒もんどりうって飛び上がって雲に乗る

……らしいですよ。だから何がどう違うのかよく分かりませんが……。悟空の方がアクロバティックだってことですかね?

姿かえの術

悟空は変装の達人です。つるりと顔を撫でるだけで、どんな姿にでもなれます。象とか虫とか虎とかにもなるし、一番すごいのは超絶美人になって妖怪を騙すというもの。悟空はよく妖怪の奥さんに化けて相手をハメてます。

分身の術

悟空は猿ですから体中毛だらけですが、この毛を抜いて分身を作ることができます。しかも、この分身の術は実に念が入っていて、ちゃんと如意棒までコピーされてるんですからすごいです!

何十という悟空を作って暴れたことも……。これなら無敵ですね。

三面六臂の術

阿修羅像みたいに三つの顔、六本の手になって暴れる術です。たびたび使ってます。最初に使ったのは展開と大喧嘩をしたときで、三面六臂の敵の大将と戦った時に、

「そんならオレも三面六臂になるぞ!」

と言ってこの姿に。ちゃんと如意棒も三本になるんですからね~。大変便利です。

まとめ

いや~、長かったです。さすが西遊記は百巻ありますから、書くことも多いですね。

孫悟空は暴れ者だし短気だしキレキャラですが、お師匠様の言うことなら何でも聞くところが実に愛嬌があります。そこが人気の秘密でしょうね。西遊記の永遠の人気キャラです!

【関連記事】
西遊記のあらすじ。日本一分かりやすいページ
西遊記の三蔵法師って実は情けない!トホホなキャラを五分で解説
八戒はどんなキャラクター?実は西遊記一ズルい奴
【西遊記】沙悟浄ってどんなキャラクター?ホントはカッパじゃない!
西遊記を知りたかったらこれを読め!おすすめ本

著者プロフィール

坂口 螢火
坂口 螢火
歴史専門のライターを目指しています。

古典と神話が好きすぎて、ついに家が図書館のように……。

1月30日に、拙作「曽我兄弟より熱を込めて」が販売されます!立ち読みも大歓迎。ぜひ読んでね!

出版した本(キンドル版)

山中鹿之介と十勇士より熱を込めて山中鹿之介と十勇士より熱を込めて
「我に七難八苦を与えたまえ」という名言で有名な、山中鹿之介。 本書では、「山中鹿之介の史実の人生」と、「鹿之介と十勇士たちの講談エピソード」をエッセイ調にまとめました。通勤時間に読める鹿之介入門書です!
平家物語より熱を込めて平家物語より熱を込めて
平家滅亡という、日本史を揺るがす大事件に巻き込まれた人々。平家物語に登場する、木曾義仲、文覚上人、平維盛、俊寛僧都など、一人一人の人物の人生を、ショートショートでまとめました。彼らの悲劇の人生を追いながら、平家物語全体のストーリーに迫ります。
曽我兄弟より熱を込めて曽我兄弟より熱を込めて
妖刀・膝丸の主としても注目の曽我十郎祐成・五郎時宗兄弟。 どんな困難にもめげず、父の仇討ちを果たして散った若き二人の物語が 講談調の語りと徹底した時代考証で鮮やかに蘇る! 鎌倉期の生活や文化に関する解説も満載の一冊。
忠臣蔵より熱を込めて忠臣蔵より熱を込めて
日本三大仇討ちの一つ、忠臣蔵。江戸時代に、主君浅野内匠頭【あさのたくみのかみ】の仇を討つために、四十七人の家臣たちが吉良上野介【きらこうずけのすけ】の屋敷に討ち入った、実際にあった大事件である。
あなたの星座の物語あなたの星座の物語
星占いで重要な、黄道十二星座。それぞれの星座にまつわる物語を詳しく紹介。有名なギリシャ神話から、メソポタミア、中国、ポリネシア、日本のアイヌ神話まで、世界中の星座の物語を集めました。

Posted by 坂口 螢火