八戒はどんなキャラクター?実は西遊記ナンバー1のズルい奴

2021年10月8日

西遊記の登場人物は?と質問すると、だいたい出てくるのが孫悟空、八戒、沙悟浄(ここでなぜか三蔵法師はあんまり出てこない)。

さて、ここでは西遊記のナンバー2、八戒について説明します!八戒はどんなキャラクターかと言いますと……先にお断りしておきますが、こんな怠け者で恥知らずで面の皮あつくて、ズルい奴はいないんじゃないかと!

では、こいつのどんなところがサイテーなのか、詳しくご説明させていただきます!

八戒の人生(?)は?ざっくりと説明


八戒の人生って残念すぎです。実はこいつ、最初は妖怪でもなければブタでもない。ちゃんと天上界に住んでる産まれ正しい天界の人間。天の川の役人をしていたのでした。天蓬水神(てんぼうすいじん)って言うんですが、覚えなくていいですよ。

ところが!産まれはいいのに性格がニートすぎ。毎日天の川のほとりで酒を飲みすぎ、やらかしてばっかりだったので、ついに天帝(天界のボス)がブチ切れ。

「貴様ぁ!天界から出て行け!もう知らん!」

下界にぶん投げられてしまいました。その時、運の悪いことに母ブタのお腹の中へスッポーン!ブタになって生まれてしまったのでした。母ブタもいい迷惑です。

ブタになっても八戒のダメすぎな性格は治りません!ある時、観音様がやって来て

「いいか、八戒。心を入れ替えるのだ。そのうち三蔵法師がやって来るから、弟子入りしなさい。いいブタになれよ」

と親切に諭し、「うん、分かった!」と返事をしたくせに、その後もちっとも生活を改めようとしません!

何と八戒、高家荘(こうかそう)というお金持ちの家に美人の娘がいるのを見つけ、勝手に押し入り婿になって奥の部屋に娘を監禁。毎日娘とイチャイチャやりたい放題し、娘を人質にしてるのをいいことに、家の者に毎日ご馳走を作らせて牛飲馬食。家の人たちは大泣きです。

「ヒ~ッ。娘が殺される!助けて~!」

と、そこへ偶然、三蔵法師と孫悟空が来合せました(この時は沙悟浄はまだいなかったんです)。悟空は八戒をギュウギュウに懲らしめて、観音様のお言葉通り、八戒を弟弟子に。

こうして八戒は三蔵法師の二番目の弟子になったのですが、怠け癖はとんと治りません。戦いをするのは大概悟空。八戒は「兄貴!ガンバレ!」と、ちょこっと手伝うくらい。でもまあ、ちゃんと天竺までは歩いて行ったんです。

八戒って本名じゃない!

実は!八戒って本名じゃありません!ホントの名前は「猪悟能(ちょごのう)」と言います。この本名をつけたのは観音様。観音様が「お前は三蔵法師の弟子になるんだよ」と言った時、

「お前の顔はブタだから、豚という意味の猪の字をつけて猪悟能にしよう!」

と、何のヒネリもない名前を付けたのでした。

さて、八戒というのは「仏様が戒めてる8つのこと」を意味する言葉で、

「殺さない。盗まない。イチャイチャしない。嘘を言わない。酒を飲まない。派手な格好をしない。広いベッドに寝ない。昼から夜までご飯食べない」

という超スパルタな決まりのことです。八戒が「この8つをちゃんと断(た)って、三蔵様に弟子入りします」という大ウソを言い、三蔵が「じゃあ、お前のあだ名は八戒だ!」と決めたのです。これで以後「八戒」と呼ばれるようになったのでした。

八戒の性格は?

八戒はとにかく怠けもんです。ブタだからしょうがないですが、こいつは本能しかないです。女、酒、食い物、睡眠が生き甲斐。特に食い物と睡眠には目がないです。食い物のためには三蔵の目を盗んでまで色々やらかし、「眠~い」と思ったら、妖怪と戦ってる最中でさえ

「ちょっとトイレに行ってくる」

と言って戦線離脱。悟空が必死に戦ってる間に草むらでグーグー。八戒、最低です!

しかも、八戒はけっこう嘘つきです。なんか面白くないことがあると平気で噓をつき、三蔵を騙すことも。悟空はそれで1回ハメられて、三蔵から破門されちゃったことがありました。

これは衝撃!八戒、三蔵を見捨てたことがある!

八戒、怠けるだけじゃありません。何と、三蔵を裏切ったことまであります!

ある時、妖怪にさらわれちゃって、檻に入れられちゃった三蔵法師。実はこの時、頼りになる悟空はわけあって故郷の花果山(かかざん)に帰っていました。三蔵、大ピンチです!

いつもは悟空が三蔵を助けてくれるのですが、こうなったら仕方がありません。八戒と沙悟浄で妖怪と戦います。が、妖怪メチャクチャ強い。「こりゃダメだ」と思った八戒、何と沙悟浄に戦いを全部丸投げして草むらで昼寝!当たり前ですが沙悟浄はボロ負けです。

「こうなったらわたしが!」

と、ついには三蔵の乗っている馬まで妖怪と奮戦(名馬だからしゃべれるんです。元は龍なんですよ)。この馬、けっこう泣かせキャラで、足に大怪我するまで戦います。けれども武運つたなく倒れてしまったのです(泣)

「あ~、よく寝た~」

と、ここで八戒がやっと起きます。それを見た馬が

「ああ!八戒兄貴!お願いだ、悟空兄貴を呼んできてくれ!」

でも、八戒はどこまでも最低な奴。「え~、俺が行くの?ヤダね」と却下!

「そんなこと言わないで!お師匠様を助けなくちゃダメじゃないか!」

「もう無理だよ。俺は諦めたよ。お師匠様はほっといて、ここで解散しよう。中国に帰ろーぜ。俺は元の高家荘に帰って気楽な婿さん生活をするよ!」

どこまでも最低すぎる八戒。馬は歯を食いしばって涙の訴え。

「あ、兄貴……。頼むから怠け癖だけは起こさないでくれ……!お願いだ、悟空兄貴を呼んできてくれよ!」

どっちが兄貴なんですかね?この後も散々八戒は面倒くさがって渋るんですが、馬の必死の嘆願でようやく悟空を呼んできたのでした。

馬にまでたしなめられるなんて……八戒、救いようがないです。

八戒アイテム

ぶっちゃけ、八戒アイテムは1個だけ。「まぐわ」です。(畑で使ってるアレ)

八戒のまぐわは9本のとげとげがついてるタイプで、八戒は「九歯のまぐわ」と呼んでます。

まとめ

う~ん、振り返れば振り返るほど最低な奴ですね。何とな~く愛嬌があるから許されてるんですが、同僚にはできるだけ欲しくないタイプ。でも、ここまで本能のままに生きることができたら、楽しい人生かもしれませんね!

【関連記事】
西遊記のあらすじ。日本一分かりやすいページ
西遊記の三蔵法師って実は情けない!トホホなキャラを五分で解説
孫悟空ってどんなキャラクター?サイヤ人じゃない猿の悟空を10分で説明
【西遊記】沙悟浄ってどんなキャラクター?ホントはカッパじゃない!
西遊記を知りたかったらこれを読め!おすすめ本

著者プロフィール

坂口 螢火
坂口 螢火
歴史専門のライターを目指しています。

古典と神話が好きすぎて、ついに家が図書館のように……。

1月30日に、拙作「曽我兄弟より熱を込めて」が販売されます!立ち読みも大歓迎。ぜひ読んでね!

出版した本(キンドル版)

三国志より熱を込めて三国志より熱を込めて 通勤時間で読める三国志
ショートショートのエッセイで書き下ろした三国志。呂布、孫策、周瑜、曹操、馬超、劉備などの英雄たちの人生を、ショートショート一話ずつにまとめました。英雄たち一人一人の人生を追いながら、三国志全体のストーリーに迫ります。
あなたの星座の物語あなたの星座の物語
星占いで重要な、黄道十二星座。それぞれの星座にまつわる物語を詳しく紹介。有名なギリシャ神話から、メソポタミア、中国、ポリネシア、日本のアイヌ神話まで、世界中の星座の物語を集めました。
曽我兄弟より熱を込めて曽我兄弟より熱を込めて
日本三大仇討ちの一つ、曽我兄弟。鎌倉時代初期、源頼朝の陣屋で父の仇討ちを果たしたという、実際にあった大事件です。戦前は誰一人として知らない者はいなかった兄弟の物語ですが、現代ではほとんど知られていません。本書では、知識ゼロからでも楽しんで読めるよう、物語の見どころを厳選してエッセイにまとめました。
新講談 山中鹿之介新講談 山中鹿之助
「我に七難八苦を与えよ」と三日月に祈った名将、山中鹿之介。 戦国時代、出雲の小国尼子は、隣国毛利に滅ぼされる。主君を失った尼子の家臣は、皆散り散りに――。しかし、ただ一人、山中鹿之介は主家の再興を目指して、ひたすら戦い続けるのだった。戦前、講談で大人気を博した山中鹿之介の人生。兄から託された三日月の兜(かぶと)、鹿と狼の一騎討、布部山の大戦、上月城の壮絶な最後など、見どころを厳選してまとめた、新しい講談本。

Posted by 坂口 螢火