聊斎志異、狐と幽霊の話二選!

聊斎志異はとにかく幽霊だとか狐だとか……とにかくバケモノだらけ!しかも、日本の幽霊みたいにナヨナヨとしてません。何と言いますか、中国の幽霊は生き生き、ピチピチ、パワフルって感じです。まあ、読めばわかりますよ。

このページではそういう幽霊とか狐とかとヤラしい関係になった男たちを紹介します!お子様はどうぞご遠慮願います……。

狐に魅入られた男たち


これは狐女とイチャイチャする男たちの話です。この狐女が男たぶらかすのに大変忙しい!中国の狐ってなかなか働きもんですよ。

それっていいの……?美人を拾って毎晩イチャイチャ

董(とう)という男と王(おう)という男は昔っからの仲良し。ある時、二人で一杯ひっかけて、「じゃあまたね~」とウキウキと董は家に帰りました。

書斎に入ると、鍵が開いてます。「あれ?酔っぱらって鍵を忘れたかな」と思いつつ、ベッドの中に手を入れると……スベスベした肌が触るじゃありませんか!驚いて明かりをつけると、またまたビックリ!信じられないくらいスーパー美人が寝てたのです。

何で家に知らない美人が寝てるのか、普通は怪しむと思うんですが、この男、理性より下心の方が大きいです。「エヘヘヘヘヘ……」と、たちまちスケベ心を起こした董、女の裾(すそ)に手を入れてお尻をさわさわ。いや、断っておきますが、中国の古典では気に入った女がいるとイキナリ尻だの胸だのに手を出すのがフツーなんです!特にこいつだけが特別変態なんじゃありません!まあ、昔の人って手が早かったってことですね。

ところが、ここで天罰!尻に手を入れたら、女の尻には長い尻尾が付いてるじゃありませんか!

「わ~!」

と逃げ出そうとする董。すると女が起き出して

「どこに逃げるのよ」

「だって尻尾があるから怖いんだ」

「尻尾なんてないわ。あなたの勘違いよ」

そう言って董の手を取って、自分のスカートの中に入れます。男も男だけど、女も大胆ですね。すると尻尾がないばかりか、太腿と言い尻といい、実にいい感じ……。もともとスケベ心に取り付かれてた董、またもやメロメロに。

「わたし、夫に先立たれて、舅とも姑も死んじゃって身寄りがないのよ。あなた、可愛がってくださる?」

と、女はうるうるの流し目。董は狂喜乱舞。

「いいとも、いいとも!楽しもう!」

着物を脱いで楽しみたい放題。とっても満足だったのでした。

楽しんでた董、いきなりバッタリ

それから一カ月くらい、董は毎晩お楽しみで悦に入っていたんですが……どうしたことか、だんだん痩せ程っていきます。体が弱ってきて、ついには病気に。

「こいつはおかしい」

と思った董、お医者さんに診てもらいます。脈をとるなり、医者はたまげて

「これは妖脈ですぞ!もう治りません。諦めるしかありませんね!」

聞いた董は大ショック。わんわん泣いて「何とかしてくださいよ!」と必死の懇願。医者は頭を振って

「いいですか、もしアヤシイのと会っているのなら、すぐに手を切りなさい」

とのこと。董も初めて女がヤバそうだと思い、「もう女と寝るのはやめなくっちゃ……」と思います。

帰るとまた女が董と寝ようとして抱きついてきましたが、董はそれを振り払って逃亡。妻や子供のいる(そうです、こいつ妻子持ちです)母屋で寝ることに。今までは、妻と寝るときは妻のいる母屋で、女と寝るときは女のいる書斎に行ってたんですね。

ところが恐ろしいことに……寝るとたちまち女とイチャイチャしてる夢を見ました。起きると精を漏らしてます。ますます怖くなった董、奥さんに寝ずの番をさせて明かりを付けさせてましたが、やっぱりその後も毎晩女と寝てる夢を見るのです。

こうして、とうとう董は弱り切って死んじゃいました。

狐、今度は王を襲う!

さて、董が死んじゃった後のことです。王が書斎に入ると、あの狐の女が入ってきました。全然知らない女なのに、王は美人を見て大喜び。何にも考えないでいきなりイチャイチャ。その晩、限界まで楽しみまくった後で

「ところで、君、誰?」

とマヌケな質問。今さら……?って感じですが、女はまたもやしおらしい名演技。

「わたし、董さんの隣にいた者で、いい仲でしたのよ。でも董さんは狐に取り付かれて死んでしまいましたの。王さんは気を付けてくださいませね」

こうして王は妻子の目を盗んで、女を書斎に隠しておいて、毎晩楽しんでいたのです。が……数日たつと、王もやっぱり体調不良に。するとある晩、こないだ死んだ董が夢枕に立ったのです。

「おい、王。お前が今寝てる相手は狐だぜ。俺もすっかり騙されて殺されちゃったんだ。このまんまじゃ、もうすぐお前も死ぬぜ。俺は今から閻魔大王に掛け合って、狐に天罰を下してもらうつもりなんだ。お前は僕の初七日に香を焚いて、狐を近づけちゃダメだよ」

これを聞いて王はビックリ。奥さんに頼んで香を焚いてもらいました。王はこんなダメ男なのに、奥さんはいい人です。寝ずの番で王のために香を焚いてくれます。

香のパワーで狐は王に近づけません。その間に、董は閻魔様に涙の訴え。閻魔様は

「フムフム、お前が死んじまったのは、女の色香に夢中になったからお前のせいだが、狐が大勢の男を殺したのは確かに罪が重い。狐をやっつけてあげよう」

とナイスな裁判。狐はバッタリ倒れて死んじゃいました。王の家族の人たちは、「狐が生き返ったらヤバイ」と、その皮を剥いで吊るしました。

王の病気はけっこう重くて、半年も寝込んだそうです。

狐の嫁さんと幽霊の嫁さん

今度の話はなかなか凄いですよ。なんと、狐女と幽霊女、両方とも楽しんだ男の話!なかなかのツワモノです。

桑、狐と幽霊の女を両方楽しむ。

桑(そう)という男がいて、一人暮らしをしていました。

「一人暮らしで、狐や幽霊が怖くないかい」

と、ある時友人に聞かれると、「男一匹、何で幽霊や狐が怖いもんか。メスだったらいっそ戸口を開けて入れてやるさ」

と答えました。

それからしばらくして、ある晩桑の書斎に、突如女が現れたのです。それも傾国の美女。桑は「ははあ、こりゃ友人がオレをからかって、女に幽霊か狐の真似をさせてるんだ」と考えたもんですから、全然怪しみませんでした。が……実はこれ、ホンモノの狐。

「わたしは麗香と申します。隣の家に住んでますのよ」

と女が言うと、桑は大喜び。

「いいよ、いいよ。入りなよ」

と気楽に入れてしまって、狐女と散々楽しんだのでした。それからというもの、この麗香は四日、五日おきにやって来るようになって、桑と楽しみまくったのでした。

と、そんなある日のことです。夜、女がやってきたので「お、麗香が来たな」と思って迎え入れると、全然別人です。

しかしこれもなかなかの美女。十五歳くらいで大変若い。女が

「わたしは李と申します。前からあなたが好きだったの」

と言ってくるので、桑は有頂天。さっそくやるべきことをやると、処女だったのでまたまた大喜び。女はしなしなと甘えてきて

「これからも可愛がってね。でも、あなたは他に女がいるのかしら」

と、今さら過ぎる質問。すると桑は

「一人通ってくる女がいるけど、毎晩来るわけじゃない」

「じゃあ、その人がいない時にわたしが来るわ。靴を一つ置いて行くわね。靴を撫でてくれたら来るわ」

こういう凄い約束を交わして、女は帰っていったのでした。

それからというもの、桑は毎晩女と楽しむことに……。李という女は、靴をなでなでするとやって来るのです。どうしてかは桑にもよく分かりませんでしたが、便利なので気にしませんでした。

桑、病気になる

さて、この桑はトンデモナイ男で、麗香が「他に女がいるんでしょ」と言うと、「うん、いるよ」と李が来た時にのぞき見させます。李が「わたしとその女と、どっちがキレイなの」と聞くと、「じゃあ、見る?」と、やっぱりのぞき見……。

すると、李が「あなた気づいてないの?あの女は狐ですよ」

麗香は麗香で「あの女は正真正銘、幽霊ですよ」

と言いましたが、桑は「エヘヘへ、嫉妬してるだけさ」と頭っから信じようとしませんでした。女たちはホントのことを言ってたんですが……。

と、そうこうするうち、桑は病気になってしまいました。麗香がこれを見て

「幽霊と寝てばっかりいるから病気になるのよ。狐と寝ても三日すれば精気が戻るから、そんなに害はないのよ。でも幽霊は危ないわ。薬を上げるから飲みなさい。それで、あの幽霊女とは手を切るのよ」

と、薬を与えて説教。桑は薬を飲んでスッカリ全快したのですが、

「あんな美人と別れられないよ……」

と、李と寝るのをやめませんでした。そのため、ついに桑は死亡寸前くらいにヤバい病気になってしまったのです。

すると!なんと李がいるところに麗香が乱入。すごい大修羅場です!

「この幽霊女!美人だからってこの人をたぶらかして病気にしたのね!」

「わたしは処女のまま若死にしちゃったから、楽しみたかったのよ。別に死なせる気はなかったのよ!」

「じゃあ幽霊の男と楽しめばいいじゃない!」

「幽霊の男は大勢いるけど、ちっとも楽しくないんだもの。仕方ないでしょ!」

「それにしても、あんたバカじゃないの!生きてる人間同士だって毎晩じゃたまらないのに、ましてや、あんた幽霊でしょ!この人を殺す気なの?」

この会話を聞いた桑は呆然。まさか本当に狐と幽霊だったなんて……。でも、この男はなかなか冷静な奴で、

「まあ、これほど見慣れてるから別にどうってことないや」

と悟ってました。

この後、麗香がまた薬を出してきて桑は全快。李は反省したのか、その後姿を見せませんでした。

幽霊女、まさかの生還!

その後、まさかの超展開!桑の家の近所で、趙金持ちの十五歳の処女が死んだのですが、この娘がいきなりがばっと起き上がって

「わたしの名は李と申します。生き返ったのよ」

と演説……。家族は呆然自失。

「わたし、近所の桑さんといい仲なの。あの人のところに靴を片っ方残してあるわ」

しかもその後、生き返った李は「これはわたしの顔じゃない。わたしはもっと美人なのよ」と、しばらく絶食、さらに昆虫みたいに脱皮。

するとすごい美人になったので、家族はさらに驚愕!幽霊女の言うことを信じないわけにはいかず、仕方ないので桑を婿にすることに。こうして、桑は凄い金持ちの家に玉の輿することになったのでした!

その上、この桑は面の皮が厚いといいますか、いい性格をしてるといいますか、なんと狐の麗香も嫁さんとして連れて行きます。金持ちになった桑は、ちゃんと生きてる人間になった李と、狐の麗香と、ハッピーエンドで暮らしましたとさ。

著者プロフィール

坂口 螢火
坂口 螢火
歴史専門のライターを目指しています。

古典と神話が好きすぎて、ついに家が図書館のように……。

1月30日に、拙作「曽我兄弟より熱を込めて」が販売されます!立ち読みも大歓迎。ぜひ読んでね!

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Posted by 坂口 螢火