【忠臣蔵】堀部安兵衛の「高田馬場の仇討ち」跡に行ってみた感想まとめ

2021年10月8日

堀部安兵衛と言えば、忠臣蔵の活躍もカッコいいですが、何といっても「高田馬場の仇討ち」!今も、高田馬場には仇討ち跡地が残っていると聞いたので、ついに行ってみました!

高田馬場の仇討ちって?超ザックリと説明

安兵衛が25歳の時のことです。大酒飲みの安兵衛、すでに両親はなく、一人暮らしの気楽さで毎日浴びるように飲みまくり。保護者的存在のオジサンは気が気じゃありません。

「安兵衛よ、酒を慎んでまっとうになってくれ(泣)」

としきりに意見。

その日も朝まで飲みまくった安兵衛は、長屋でグーグー寝てたのですが……そこへ、オジサンピンチの知らせが!オジサンは高田馬場で18人もの悪者に囲まれて、超危ない状態なのです!安兵衛、それを知ってすわッと飛び出します!

何と、10キロもの距離を走り切って、高田馬場へ駆けこんだ安兵衛。オジサンはすでにめった刺しになって死んじゃってましたが、

「叔父上!恨みは晴らしますぞ!」

と、悪者18人をケチョンケチョンにやっつけてしまいます。安兵衛、カッコよすぎです!

高田馬場の仇討ち、実は最寄り駅は高田馬場じゃない!

高田馬場の仇討ちは江戸時代。令和の今とじゃ、結構地名がズレてます。致し方なし……。

仇討ち跡地の、一番の最寄り駅は「早稲田」です!東京メトロ東西線。JR高田馬場駅から一駅です。駅名でお分かりのことと思いますが、仇討ち跡地は早稲田大学のすぐそばなんですね~。なんだか、いろいろ名所が集まってるところです。

というわけで、行ってみました!早稲田駅で電車を降り、二番出口から地上に出ると……、おお!すぐそばに神社が見えるじゃありませんか!この神社が馬場の跡地だそうです。

やたらとカッコいい流鏑馬の像が……。

高田馬場とは、当時の武士たちの馬場だったそうで、武士たちが馬術を競っていた場所なのだそうですよ。きっと当時はこう言う武士たちの姿が見られたことでしょう。

かなり立派な神社

中に入ると、けっこう広い神社です。

都心とは思えませんね。灯籠がたくさんあるのが、実にいい雰囲気です。ちゃんとお賽銭してきました。奮発して百円です。

中は紅葉でいっぱいです。晩秋に来たらさぞや見事でありましょう……。

今もある!安兵衛が立ち寄った酒屋

この仇討ち跡地で、最高のスポットは酒屋です!

安兵衛は仇討ちが終わった後、「喉が渇いた」とか言って酒屋に駆け込み、五合の枡でガブガブと酒を飲んだんだそうな……。代金を払おうとすると、そこの主人が

「十八人も斬った大豪傑が来てくださっただけで満足です!お代はいりませんよ!」

と、何とも粋な計らい!そして、主人は安兵衛が使った枡を大事に保存。その枡は今でもこの店の家宝として残されている……。

これは講談の名シーンなのですが、何とこれは史実!その店がここです!

リカーショップ小倉屋!早稲田駅出口のすぐそば、歩いて十秒の場所にあります!

この店を前にしたときの、わたしの気持ちをお分りでしょうか……。感動のあまり涙出そうでした。今もあるなんて!江戸時代の店ですよ?生類憐みの令の時代の店ですよ?講談の世界が、ここにはまだ生きてるんですよ!

ちなみに、この店の隣は夏目漱石の生家跡地です。けっこう立派な石碑が建ってましたよ。もちろん、夏目漱石が住んでた時も小倉屋はここにあって、漱石は「この店で安兵衛が酒を飲んだんだ」と著作の中で言ってます。

旧千円札の人のおうちもあるなんて……。高田馬場、歴史がありますね。

店の前に行くと……こんな看板が!売ってます!安兵衛の名前のお酒が売ってるじゃありませんか。もちろん買いましたよ。二本も買いました。もっと欲しかったんですが、さすがに重いのでこれくらいで。

これがその「吟醸清酒 堀部安兵衛」です!この絵を描いたのは明治の作家、巌谷小波だそうで。殴り書きみたいな絵ですが、よく見ると結構芸が細かい。ちゃんと太刀が赤く塗ってあったりします。

小波はこの店に来た時に、この絵を描き残していったんだとか。やっぱり小説家は安兵衛が好きなんですね……。分かります、分かりますよ。立ち寄った時に描いた簡単な絵なのに、ついつい色まで付けてしまうくらい安兵衛ファンなんですね。

そして、この店最大の感動ポイントはこれです!

枡は非公開だと聞いていたので、正直、店を訪れる前からガッカリしていたのですが……写真が飾ってあるじゃありませんか!おお……本当に枡が残っているんですね。古色蒼然とした感じが、実にいいじゃありませんか。この枡を見られるなんて、本日はこの一年間で最高の日です!

この後、お店のおばさんと立ち話しました。店も最高ですが、店員さんもいい人です!安兵衛のことを愛を込めて話してくれます。代々、この枡を守ってきた店!って感じがしますよ。

まとめ

気になる「吟醸清酒 堀部安兵衛」のお味ですがね、かなり辛口。美味しいですよ。刺身とか塩辛などに合わせるのがおすすめ。講談を読みながら飲むと、そのうち安兵衛と一緒に飲んでる気になる……のは、わたしだけですかね?

【関連記事】
堀部安兵衛、生涯に仇討ち三回!忠臣蔵の大立者

著者プロフィール

坂口 螢火
坂口 螢火
歴史専門のライターを目指しています。

古典と神話が好きすぎて、ついに家が図書館のように……。

1月30日に、拙作「曽我兄弟より熱を込めて」が販売されます!立ち読みも大歓迎。ぜひ読んでね!

出版した本(キンドル版)

山中鹿之介と十勇士より熱を込めて山中鹿之介と十勇士より熱を込めて
「我に七難八苦を与えたまえ」という名言で有名な、山中鹿之介。 本書では、「山中鹿之介の史実の人生」と、「鹿之介と十勇士たちの講談エピソード」をエッセイ調にまとめました。通勤時間に読める鹿之介入門書です!
平家物語より熱を込めて平家物語より熱を込めて
平家滅亡という、日本史を揺るがす大事件に巻き込まれた人々。平家物語に登場する、木曾義仲、文覚上人、平維盛、俊寛僧都など、一人一人の人物の人生を、ショートショートでまとめました。彼らの悲劇の人生を追いながら、平家物語全体のストーリーに迫ります。
曽我兄弟より熱を込めて曽我兄弟より熱を込めて
妖刀・膝丸の主としても注目の曽我十郎祐成・五郎時宗兄弟。 どんな困難にもめげず、父の仇討ちを果たして散った若き二人の物語が 講談調の語りと徹底した時代考証で鮮やかに蘇る! 鎌倉期の生活や文化に関する解説も満載の一冊。
忠臣蔵より熱を込めて忠臣蔵より熱を込めて
日本三大仇討ちの一つ、忠臣蔵。江戸時代に、主君浅野内匠頭【あさのたくみのかみ】の仇を討つために、四十七人の家臣たちが吉良上野介【きらこうずけのすけ】の屋敷に討ち入った、実際にあった大事件である。
あなたの星座の物語あなたの星座の物語
星占いで重要な、黄道十二星座。それぞれの星座にまつわる物語を詳しく紹介。有名なギリシャ神話から、メソポタミア、中国、ポリネシア、日本のアイヌ神話まで、世界中の星座の物語を集めました。

Posted by 坂口 螢火